東京03 第20回単独公演「不自然体」 名古屋会場

本当に今更ながら「ゴッドタン」のマジ歌にハマってしまい、その流れで生の角田も見たくなっていそいそと単独ライブに出かけてきた。
まずチケットが5900円とお笑いのチケットにしては割高だ。でも見た後だとそんなに高く感じなかった。コントを見に行ったというよりも、演劇を見に行ったという感覚になったからかもしれない。オムニバスの短い芝居を何本か見たような。


あと東京03の公演では音楽が効果的に使われている。さすが角田がいるだけある。
もうオープニングのピアノ曲ですでに引き込まれた。
普通お笑いのライブのオープニングといえばこれから楽しいことが始まりますよ的な曲がかかるものだけど、あえてこの曲で幕を開けるところにむしろテンションが上がってしまう。


最初のコントは公演のタイトルにも関連している「不自然な日」。
短めのコントだけれど、これだけで3人それぞれの役割、キャラが十分に伝わる。
基本的に薄っぺらいことしか言えないので舐められている上に、人に尊敬されたいのが透けて見えるので、それがさらに薄っぺらく見える角田。めちゃくちゃ悪口を言っているようだが、なぜか好きになってしまうのがこの男のすごいところである。この暑苦しさと薄っぺらさは角田にしか出せない。
角田と対抗することが多く、高い声で矢継ぎ早で突っ込む飯塚。この角田VS飯塚の構図が最高に面白い。一番の笑いが起きる。
しかし東京03が角田と飯塚のやり取り一辺倒にならないですんでいるのは豊本のおかげである。他の2人に比べて口数は少ないものの、何となくこの人がしゃべると笑いが起きる。豊本にしか許されないポジションというのがある。


2本目「響いた言葉」で角田の人に尊敬されたい、でも薄っぺらいというキャラが炸裂、定着。
3本目「常連客」で角田VS飯塚の構図で盛り上がる。
4本目「同窓会」では豊本も争いに加わり、さらに盛り上がる。私も人に会うとき、わりとこれを話そうって話を準備してくるタイプなので、「用意してきた話を捨てなきゃいけないときだってあるんだよ!」というセリフは個人的に座右の銘にしたいくらい心に刻み込まれました。
5本目「二人の雰囲気」が個人的に断トツで一番好き。笑い少な目の前半を、後半の飯塚のツッコミというかもう毒舌で一気に取り返してくる感じ。角田のいかにも曲作ってますみたいな浅い感じも、何にも考えてなさそうというかどうでもよさそうな豊本もリアルでツボ。
6本目「待ちわびて」は珍しくカップルの話だけど、相変わらずの角田の底の浅さに笑う。



最後の「言いにくい人」は笑えるんだけど、意外と人間関係について考えさせられた。豊本に対して言いにくいなと思ってしまう飯塚の気持ちも、仲良くしたいのに「別に」と言ってしまう豊本の気持ちも、豊本と飯塚のお互いの誤解を解きたい角田の気持ちもみんなわかる。
そう、東京03のコントは全員の気持ちがすごくわかる。共感してしまう。東京03のコントには頭のおかしい人は出てこない。3者3様の主義主張をしているものの、それは私たちとかけ離れたものではなく、人間だったら誰しも持っている感情である。特にいいカッコしたい角田の気持ちなんかめっちゃわかるからね。みんなも心当たりあるんじゃない?


東京03のコントは人間のおかしさ、そこから生じる人間関係の不自然さがすごく面白くて、そういうところがまた演劇っぽい。
東京03の舞台を見るのは初めてだけど、最後まで演じるということを貫いていたのも印象的だった。素の東京03を見れたのは最後のアフタートークだけ。コントの合間に流れるVTRもドラマだったり、声だけの会話劇だったり。あくまでも舞台中は役として存在している。徹底している。これだけ演じることに徹しているんだけど、見ているうちにどこまでが役でどこまでが本人なのかわからなくなることがある。それくらい役にハマっているのだ。


最後にエンドロールで流れたピアノ演奏のところに「大竹涼太」の名前が。素晴らしいコントライブを見た後、さらに私は幸せな気持ちになったのであった。